第4話 窓辺の植物に水をあげながら

朝の光が少し斜めに差し込むころ、
窓辺の小さな鉢たちがきらりと光を受けていた。
葉の先に小さな雫が残っていて、
まるで朝を喜んでいるように見える。

ジョウロに水を入れる。
まだ少し冷たい水が、金属の口から細く流れ出て、
葉の間をすべるように落ちていく。

その瞬間、
部屋の空気がふっと変わる気がする。
少し湿り気を帯びた風。
緑の香り。
そして、静けさ。

植物たちは何も言わないけれど、
毎日、確かに生きている。
少しずつ伸びて、
新しい葉をひらき、
太陽の方へ顔を向けていく。

私はその姿を見るたびに思う。
「無理をしなくても、成長できるんだな」と。

昨日よりもほんの少し、
光を受け止められるようになればいい。
焦らず、比べず、
ただ今日を積み重ねていく。

水やりを終えるころ、
葉の上の雫が光を反射してきらめいた。
まるで小さな拍手のように。

それを見て、
私も少し笑った。

朝の水やりは、
植物のためだけじゃなく、
自分の心を整えるための時間なのかもしれない。

――今日もまた、ゆっくり育てていこう。
緑も、自分も、同じように。

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