💡 第7話 部屋の片隅に灯す小さなランプ
夜のはじまり。
窓の外がゆっくりと群青色に沈んでいく頃、
私は部屋の片隅に置いた小さなランプのスイッチを入れる。
ぱち、と小さな音。
やわらかな灯りが、静かに広がっていく。
強すぎず、弱すぎず、
まるで心のリズムに合わせてくれるような明るさだ。
蛍光灯の白い光では感じられない、
オレンジ色の温度。
光が壁に溶け込むたび、
一日の終わりがやさしく包まれていく気がする。
ランプの横には、読みかけの本とマグカップ。
お気に入りの音楽を小さく流して、
ただページをめくるだけの時間。
それだけで、世界が静かに整っていく。
灯りには、
心を「ここ」に戻す力があると思う。
昼間の喧騒や、溜まったタスクや、
まだ終わらない悩みも、
この光の中では少し遠くなる。
ふとランプの灯りを見つめると、
そこに“安心”という言葉が浮かんでくる。
誰かに見守られているような、
懐かしいぬくもり。
明かりを落とす前に、
もう一度ランプの光を見つめる。
小さな灯りなのに、
部屋も、心も、ちゃんと照らしてくれる。
――今日もこの灯りとともに、夜を閉じよう。
明日の朝、また新しい光が差し込むまで。


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